キネマの神さま仏さま① 「ポスターをじーっと見る少年」by永遠のシネマキッド

 映画の出会いは、幼少の頃父親に連れて行かれた石原裕次郎の映画。たしかボクシングをテーマにした映画だと記憶してるが、殴り合いのシーンが怖くて映画が終わるまで後ろを向いていたのを今でも半世紀以上経ってもはっきり覚えている。そんな少年が中学生になると人並みに好奇心旺盛になっていく。当時、家には風呂がなくもっぱら入浴は近くの銭湯「さくら湯」に行っていた。脱衣所には映画ポスターが5、6枚は貼ってあったろうか。東宝、国際、パール、松竹、東映…。封切り、ロードショー、2本立ての文字が目を引く。Z少年はその銭湯に行くたび映画のポスターをじーっと見ているのであった。そんなある日、番台の方から視線を感じる。 つづく